大判例

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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和30年(う)265号 判決

職権により調査するに原判決は「判示第一の所為は刑法第二百二十三条強要未遂に、第二の所為は銃砲刀剣類等所持取締令第二条、第二十六条に各該当するところ、前示前科があるので刑法第五十四条、第五十七条により累犯加重を為し第一の所為と第二の所為は併合罪の関係にあるので同法第四十五条、第四十七条、第十条、第十四条により加重した刑期範囲内に於て被告人を懲役三月に処し」と判示し処断していることが判文上明らかである。右適用の刑法第五十四条は言う迄もなく刑法第五十六条の誤記と認められるけれども、刑法第二百二十三条に定める強要未遂罪の法定刑は三年以下の懲役刑であり、また銃砲刀剣類等所持禁止令第二十二条第二十六条の罪の法定刑は三年以下の懲役又は五万円以下の罰金であるから所定刑中懲役刑を選択し、これ等の各刑について累犯の加重をなし更に併合加重をすれば結局九年以下の刑期範囲において被告人を処断すべきものであり従つて刑法第十四条を適用する余地を見出すことが出来ない。しかるに原判決が特に本件につき刑法第十四条を適用していることは既に説明した通りであつて斯様な誤りは単に無用の条文を錯誤に基いて記載したに過ぎないとしてこれを看過するを得ず。原判決は法令の適用を誤り二十年以下の刑期範囲内で量刑処断したものと解せざるを得ないのである。

右誤りは判決に影響を及ぼすことが明らかであるから原判決は破棄を免れない。

(裁判長裁判官 成智寿朗 裁判官 沢田哲夫 裁判官 石田恵一)

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